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東日本大震災から情報と伝達の役割について考える

東日本大震災から3ヶ月近くが過ぎました。
多くの命と財産が僅かな時間の間に奪われてしまったあの出来事は、今なお信じがたい思いがします。
被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、心の傷が少しでも早く癒され、笑顔がもどることを強く祈念いたします。

震災当初に何度も流されたテレビの映像の中で、一度しか目にしなかったのに忘れられない映像があります。
それは、避難をする人たちを追い越しながら車の中から撮られた映像なのですが、避難をする人たちの歩みがとてもゆっくりなのです。
子供の手を引いたお母さんや、お年寄りが荷物を持って行列になって歩道を歩いていきます。
しかし、その歩みは、落ち着いて行動しているとは言えるのでしょうが、緊迫感は感じられず、少なくともすぐそこまで津波が迫っているのを知っている人たちでは無いことが容易に想像されるスピードでした。
その後、そこの場所まで津波が押し寄せたのかどうかは分かりません。
ただ、見たときは既に過去の出来事となっている映像に向かって、「早く、もっと早く逃げて!」と叫んでもどうにもなりませんでした。
無事であったこと祈るばかりです。

当時は、「避難指示が出ていても実際には津波は来ないだろう」と思っていた人が少なくなかったということを、その後の報道などで知りました。
危険が迫ってきた時、危険だという、その情報をもっと早く、正確に、”緊迫感を持って” 伝えられたならば、もっと多くの人が助かったのではないかという思いが今も拭えません。

今は編集されて文章が変わってしまっていますが、以前は Wikipedia で「情報」のページを見ると

「情報とはすべての生物に影響を及ぼす一切の事象のことである」

とあり、簡潔ながら本質をついた一文に感銘を受けました。

今回の震災においても情報は間違いなく、(命を左右するほど)「生物に影響を及ぼす」事象でした。
しかしその情報を、必要としていた人に、早く、正確にかつ、”すぐにでも行動を促す緊迫感を持って” 伝えられたかといえばそうではありませんでした。
とても残念です。

私たちの会社では、情報を上手に分かりやすく伝えることを使命として仕事をしています。
情報を伝えるということは、「利」を目的とすることもあれば、一方で時に人の人生を左右することさえもある重要なことだと考えております。
あらためて、「必要としている人に、必要な情報を、適時に、正しく、分かりやすく伝える」役割をしっかりと果たすべく業務に取り組んで行こうと思います。

この記事を書いた人

池谷 義紀
池谷 義紀株式会社アーティス 代表取締役
1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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