医療機関ウェブサイトの虚偽表示、ついに罰則の対象へ
参考ニュース:医療機関のウェブサイト、虚偽・誇大表示禁止へ 厚労省(朝日新聞デジタル)
医療機関ウェブサイトは引き続き広告として扱わない
今回の検討において注目されていたのが「医療機関ウェブサイトを広告として扱うか」という点です。
以前のブログ記事でお伝えしましたように、医療法では広告について厳格な規制を設けておりますが、医療機関ウェブサイトは、ユーザーが検索して閲覧するものであり、広告として扱われていません。(ただしバナー広告やリスティング広告などネット広告を利用し、医療機関ウェブサイトにリンクしている場合はウェブサイトも広告として扱われます。)
近年、美容医療サービスを中心に健康被害や契約トラブルが相次いでいることを受け、2015年に内閣府の消費者委員会が、医療機関ウェブサイトを医療法上の「広告」に含めるよう求めていましたが、ユーザーへの適切な情報提供がなされなくなってしまうことを懸念し、今回の検討においても引き続き広告として扱わないという結論となりました。
広告と同様の命令および罰則を課せるよう医療法を改正
このように「医療機関ウェブサイトは広告として扱わない」という結論を出した厚生労働省ですが、相次ぐ健康被害や、ウェブサイトに掲載する内容についての指針をまとめた「医療機関ホームページガイドライン」の実効性が低いことを重く受け止めており、2016年10月20日に行われた社会保障審議会の医療部会において、「医療法を改正し、虚偽・誇大な内容などの不適切な表示に対する規制を設け、広告と同様の命令および罰則を課せるようにする」という内容の提案が厚生労働省からなされました。
この提案への反論はなく、今後より具体的な規制内容の検討が進むと予想されます。
罰則の内容
厚生労働省のいう「罰則」とはどのような内容になるのでしょうか?
現在の医療法では「医療法第73条」において、広告に虚偽内容などがある場合6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と定められています。厚生労働省はこの罰則を医療機関ウェブサイトにも適用したいと考えていると推測されます。
外部委託によるネットパトロール
厚生労働省は、不適切な表示のある医療機関ウェブサイトを発見するため、ネットパトロールを専門業者に外部委託し、来年度から新たに導入するとの報道もされています。その規模は、政府予算の概算要求で4,200万円を計上するほどであり、自治体とも連携し監視体制が確立されていくと予想されます。
まとめ
医療機関ウェブサイトは引き続き広告として扱われないという結論が出されましたが、医療法の改正やネットパトロールによる監視体制など、医療機関ウェブサイトを取り巻く法的環境は大きく変わっていくでしょう。
客観性・正確性のある情報提供がなされているか、いま一度、見直してはいかがでしょうか?
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この記事を書いた人
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大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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