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「現象」と「原因」を見極めるということ

私たちの会社では、ITを活用するコンサルティング業務をおこなっていますが、そもそもコンサルティングとは、課題に対する解決策の提示であるため、その課題を生み出している「原因」が何であるかを明確にしなければ始まりません。

ところが、ここで起きがちなのが「原因」と「現象」を間違えてしまうケースです。

「原因」と「現象」の違い

例えば、ある店舗(ここでは分かりやすく実店舗を想定しています)で売上が上がらないという問題を抱えていたとしましょう。

この場合、「売上が上がらない」は、現象です。

では、原因として考えられるのは何でしょうか。

「来店客が少ない」「リピーターが少ない」「商品の品質が低い」「値段が高い」「店員に元気がない」・・・等、いくつか挙げられるものと思います。

しかし、状況をしっかりと見据えていくと、実はそれらの多くは原因ではなく現象(結果)であるケースが少なくないのです。
原因と思ってあげたものをよく見ると、それぞれが相関関係にあることが分かります。
例えば「値段が高い」は相対的に見ると「商品の品質が低い」ことや「希少性が低い」などの理由からであって、品質が高かったり、なかなか手に入れられない商品などであれば、そうはならないでしょう。
「来店客・リピーターが少ない」のは、「価格の割に(商品やサービスの)品質が低い」ためであり、「店員に元気がない」のは、そもそもの問題である「売上が上がらない」からであったりするわけです。

それらを考えていくと、「商品の実質価値(機能等の製品価値や希少性などの市場価値)の割に高い値付け」が原因であり、このケースでの解決手法は「価格に見合った(商品あるいはサービスの)品質や価値の確保」あるいは「販売価格の再考」ということになるかもしれません。

大切なのは「原因」が何かを見極める力

原因を見誤ると、「店員にインセンティブをつけてやる気を出させよう」とか「広告を出そう」「DMを送ろう」という風に、間違ったところに労力をかけてしまう恐れがあります。

大切なのは「原因」が何かを見極める力です。
これは、ITビジネスに限らず、さまざまな仕事、さらには人生のさまざまな部分においても活用することができます。

この記事を書いた人

池谷 義紀
池谷 義紀株式会社アーティス 代表取締役
1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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