医療機関における外国人患者受け入れの現状
最近、医療機関担当者様とのお話の中で、外国人患者受け入れに関する話題が増えており、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、多くの医療機関で外国人患者受け入れ体制の整備を検討され始めていると感じます。
現在、政府ではどのような対策をおこなっているのか、医療機関での受け入れ体制はどの程度進んでいるのか、医療機関における外国人患者受け入れの現状についてまとめたいと思います。
政府による外国人患者受け入れ環境整備の推進
厚生労働省では、これまでも外国人患者受け入れのための様々な事業を行ってきましたが、2018年度から「地域における外国人患者受け入れ体制のモデル構築事業」や「団体契約を通じた電話医療通訳の利用促進事業」をスタートさせ、環境整備を推進しています。
内閣府の健康・医療戦略推進本部でも2017年12月に在留外国人への適正な医療の給付等に関するワーキンググループが開催されました。
外国人患者受入れ医療機関認証制度
近年、多言語による診療案内や、異文化・宗教に配慮した対応など、外国人患者の受入れに資する体制を第三者的に評価する外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)を取得する医療機関が徐々に増えています。
外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)とは?
外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)は、外国人患者の円滑な受入れを推進する国の事業の一環として、厚生労働省が平成23年度に実施した「外国人患者受入れ医療機関認証制度整備のための支援事業」を基盤に策定された認証制度です。
2018年4月現在、全国で41の医療機関が認定を受けています。認定病院の多くは基幹病院で、中小病院の認定はまだまだ少ない状況です。
2017年6月には、厚生労働省によって外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認定を受けている4つの医療機関を対象として、認定後の外国人患者受入れ状況に関するヒアリング調査が行われました。
医療機関における外国人患者受け入れの課題
上記に記載したように、厚生労働省を中心に医療機関における外国人患者受け入れの環境整備が行われていますが、言語、文化の問題や医療通訳の提供体制、未収金のリスクなど、まだまだ課題は山積みです。
最近、「1,456医療機関のうち83%が、外国人対応の費用を追加せず公的保険の診療報酬と同額だけを請求していた」とのニュースが報じられました。
外国人の診察料は医療機関が自由に決められます。本来であれば、コーディネーターや医療通訳者、外国語対応看護師など、外国人患者を受け入れるための費用を含め請求するべきですが、政府にも医療機関にも指針がないため、公的保険の診療報酬と同額だけを請求していたと考えられます。
一方で、外来で年間501人以上の外国人患者を受け入れている医療機関の半数が診療報酬の2倍以上を請求しており、患者数の多い基幹病院と中小病院で受け入れ体制の差が表れています。
さいごに
2017年に日本に訪れた外国人旅行者は年間約2,869万人に達し、2016年の2,404万人から急増しています。
政府には、外国人の方が安心して日本の医療サービスを受けられるよう、基幹病院はもちろん、中小病院でも外国人患者受け入れのための体制整備が整えられるような対策を講じてほしいものです。
この記事を書いた人
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大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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