仕事と働き方についての考え6 「スピード」
この記事は、アーティスの代表者である池谷が自身の仕事と働き方についての考えを、社員に向けて発表したものです。
もともと社内文書であるため、広く外に向けて発信する文書と比べると書き方や内容に違和感を覚える箇所もあると思いますが、あえてそのままの状態で掲載します。
また、2014年の9月に書かれた文書であるため、当時の就活状況等、現在とは若干ことなる部分もあると思いますがご了承ください。
同じ品質であれば早い方を評価する
よく仕事が出来る人とか、出来ない人とか言うことがありますが、何をもってそう言えるのでしょうか。
前段で書いた通り、出来る、出来ない、の対象となる仕事というのはあくまでも結果(アウトプット)で評価されます。
結果としてのアウトプットの量、品質が評価の対象となるわけです。
ということは、仕事が出来ない人というのは、アウトプットの量が少ないあるいは品質が低い人(アウトプットが出せないという人は論外である)ということになるわけですが、もう一つ考えなければならないのが、仕事の早さです。
つまり、アウトプットの質が高く、量も十分であったとしても、仕上げるまでの時間が遅かったら評価は落ちます。
芸術作品であれば、長い年数をかけた事自体が評価を高める場合もあるでしょうが、こと仕事である以上それはありません。
逆に、設定された期限に間に合わないようなことがあれば、評価ゼロどころか、それによる損失を考えるとマイナス評価になります。
「早い」と「速い」は異なる
では、その早さというものに焦点を当てて考えてみましょう。
「はやい」という言葉は漢字にすると「早い」と「速い」とがあって、それぞれ意味が異なります。
例えば、東京から名古屋まで東名高速道路を走る場合、時速200キロで走れる車は「速い」わけですが、実際には途中で休憩をとったり、あるいはスピード違反で捕まったりした結果、5時間かけて到着するよりも、時速80キロでも、ノンストップで4時間半で着いた方が「早い」わけですね。
足の速いうさぎが、カメと競争して、途中で油断して昼寝をしている間に、カメのほうが先にゴールするという、有名なうさぎとカメの競争の話とまったく同じです。
一般的には、うさぎの方が「速いので」仕事ができそうに見えます。
しかし、実際はカメの方が先に成果を上げているわけですから、カメの方が仕事が出来るということになるわけです。
期限をきつめに設定し、さらにその期限よりも早く仕上げるというのが仕事が出来る人
この例は、相対的な競争の話でしたが、仕事においてはいつでも期限というものがあります。
その期限は、誰かに指定される場合もあるでしょうが、自分自身で決められる場合もあるでしょう。
期限をきつめに設定し、さらにその期限よりも早く仕上げるというのが仕事が出来る人の特長です。早く仕上げた人は、次の仕事に取りかかっていきますので当然、多くのアウトプットを出すことが出来ます。
品質を担保した上で、定められた期間の中で、どれだけの量のアウトプットを出せるのか、あるいは、決められた質と量のアウトプットをどれだけ早く出せるのかが、仕事が出来る、出来ない、の評価になるのだと思います。
仕事の評価の結果
自分の仕事がどのように評価されるのかというのは大きな関心事だと思います。
特に一生懸命にやっている人であればあるほど、そう思うのではないでしょうか。
評価の結果は、給与や賞与などの金銭的報酬、役職など地位的報酬、他の人からの賛辞など承認報酬などがあります。
それらは、多くの場合連動するものですが、そのなかでももっとも分かりやすい、金銭的報酬である、賃金について考えてみます。
まず、賃金の原則として以下のものがあります。
1.ノーワーク・ノーペイの原則
(ノーワーク)仕事をしなければ、(ノーペイ)支払われない。
ということです。これは言い換えれば働いた実績に応じて支払われるということです。
当然、たとえ会社や職場に出社だけをしていたとしても、仕事とは関係ないことをしていたりすれば、支払われません。
極めてあたりまえの原則ですね。
2.同一労働、同一賃金の原則
同じ仕事をするのであれば、その仕事をする人が誰であっても同じ額の賃金しか支払われない。ということです。
17歳の高校生がやっても、高学歴で素晴らしい職歴や資格をもった35歳がやったとしても、同じ結果しか出せないのであれば、同額の賃金しか支払われないということです。
この背景には、人種や性別、年齢などによって差別をしないという考えがあります。
3.アウトプット評価の原則
その人が出したアウトプットを評価するということです。
どんなに勉強し、経験を積み、高度な知識や資格、能力を持っていたとしてもそれを発揮し、成果を出さなければ、まったく評価されないということです。
1.から3.までを見てくると、そこに共通する根源的な背景があることが分かります。
それは、人事評価とは、その「人」を評価するのではなくて、その人の「仕事」を評価することなのだということです。
つまり、人事評価とは、その「人」の行った「事」の評価だということです。
人事評価というと「人」を評価することだと考えがちですが、神様でも無い限り、人を ”正しく” 評価することは至難の業です。
では人は全く評価しないのか。
確かに、どんなにすばらしい人格者であったとしても、仕事で成果を上げられなければ評価されません。では逆に、人付き合いが悪く性格的にも難があるとしても成果をあげさえすれば良いかというと、たぶんそういう人は、先に述べたチームワークで成果を上げていくのが難しいでしょうから、結果的に評価されないことになるでしょう。
事評価では人自体は評価しませんが、結果的には、人は成果に影響を及ぼすことになるのだと思います。
仕事を遂行する能力とともに、チームの中で他者と上手に仕事をこなしていく能力や姿勢が必要とされるわけですね。
この記事を書いた人
- 1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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