「宇宙兄弟」と「下町ロケット」にみる【仕事をする意味】
普段の生活や仕事の中で見聞きする言葉で、「おっ!」と気になるものが、短期間に繰り返し、形を変えて現れることがありますよね。
ここ最近にも、そのようなことがありましたので紹介したいと思います。
1回目は、「宇宙兄弟」という漫画の中の言葉。
「宇宙兄弟」とは、幼い頃にUFOを見たことから、「一緒に宇宙飛行士になろう」と誓い合った南波六太(なんばむった)とその弟の日々人(ひびと)が、大人になり、共に宇宙飛行士となって活躍する物語です。
講談社の漫画雑誌『モーニング』に連載中で、いままでも何度か考えさせられる言葉があったのですが、先々週の第327話にも、はっとする言葉がありました。
月に天文台を作るため奮闘する六太ですが、さまざまなトラブルによって、相棒のフィリップと二人だけで月に残り、うまく稼働しない月面望遠鏡の原因を探すために、途方もない点検作業を延々と繰り返します。
「これってやる意味があるのか」
と、ため息をつくフィリップに六太がかける言葉です。
六太は、自分たちを地球に還すために尽力している福田さんという友人のことを、安全に還すために、やはり途方もないチェックやシミュレーションを繰り返しただろうことを話し、こう言います。
「自分のやっていることの”意味”を探す必要はない」
「やったことの結果が」
「”誰かの意味あること”になればいいんだ」
宇宙兄弟 第327話六太は、月に天文台を作ることの発案者で、現在はALS(筋萎縮性側索硬化症)によって体の自由が奪われつつも、六太が月面望遠鏡を建設するのを楽しみにしている、シャロンという女性の天文学者のことを思い浮かべています。
自分がやったことを喜んでくれる人がいる。
こんな素晴らしいことはないですね。
2回目は、その週の最後、日曜日の「下町ロケット」というドラマで。
現在、話はロケットのバルブ開発から、トランスミッションの開発へと進もうとしています。
主人公である精密機械製造業の中小企業・佃製作所の社長・佃航平(つくだこうへい)は、自社の製品が載ったトラクターに実際に乗った時のことを、バルブを提供し、一緒にロケット飛ばすことになった盟友でもある帝国重工の財前道生に話します。
佃製作所の社員の実家に赴き、稲刈りを手伝った財前に、遠くで作業をするトラクターを指しながら、佃が言います。
「結局我々の仕事は我々のためにあるわけじゃないんです」
「エンジンを作るのも、トランスミッションを作るのも、ロケットを飛ばすのも
それを使う人のために、世の中のためにあるんです」
「その肝心なことを見失ってはいけないんだとここにきて教えてもらったんです」
「実はここに来るまで、恥ずかしながら1度もあれに乗ったことがなかったんです。
でもいざ乗ってみると大切なものを見失っていたことに気づかされました」
この言葉は、佃とともに10年間携わってきたロケット開発の責任者から、社内抗争のあおりを受け、外される内示をされ、これから先のことを悩んでいる財前にも強く響いたようでした。
さいごに
「宇宙兄弟」も「下町ロケット」も、仕事の意味は、やること自体にあるのではなく、やったことの結果もたらされることにこそあるのだと、言っているのだと思います。
以前にも書きましたが、
仕事とは、つまり働くということは、「はた(傍)をらく(楽)にすることなのだ」なのだと、山本有三の小説「路傍の石」の中にあるとおり、仕事とは、自分のためというよりも、人のためにあるものだと思います。
やっていることの意味を探すのではなく、やったことの結果が、誰に、どのように役立つのだろうか、ということを考えたいですね。
「社長とか部長とか、長がつく人が偉いわけではない」
「人間の偉さとは、いかに世の中に貢献したかだ」
と言った、本田宗一郎(本田技研工業の創業者)さんの言葉も思い出しました。
この記事を書いた人
- 1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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