仕事と働き方についての考え8 「やりたい仕事」
この記事は、アーティスの代表者である池谷が自身の仕事と働き方についての考えを、社員に向けて発表したものです。
もともと社内文書であるため、広く外に向けて発信する文書と比べると書き方や内容に違和感を覚える箇所もあると思いますが、あえてそのままの状態で掲載します。
また、2014年の9月に書かれた文書であるため、当時の就活状況等、現在とは若干ことなる部分もあると思いますがご了承ください。
「やりたい仕事が分からない」
少なからぬ数の学生が就職活動を始めるにあたって、最初に直面することなのだそうです。
やりたい仕事ありきの学校選択をした学生であればともかく、モラトリアムな時間を過ごしてきた学生にとっては致し方ないことなのかもしれません。
ただ一方で、残念なことに、就職をしてからも、「本当は、もっと自分に向いている仕事や、やりたい仕事があるのではないか」と、思い続ける人も少なくないようです。
しかし、そう言う私もそう思ったことがありました。
いや、そもそも最初に就職した会社も、どうしてもやりたい仕事だからということで決めたわけではありませんでした。
当時は売り手市場でしたから、就職活動は現在に比べると格段に楽で、内定をもらった会社の中から、もっとも新しそうな業態だという理由で選んだ会社でした。
内定をもらったのは、上場企業3社と、未上場ながら勢いのある新興の繊維商社が1社で、もっとも大きな裁量で仕事をやらせてもらえそうだったのは、その繊維商社でしたが、それよりも、上場企業というバリューと、新しい業態への興味が上回ったということだけだったように思います。
いま自分が行っている仕事を好きになる
入社した会社は、入ってみると実際には旧態依然としたところが多い会社で、仕事量は多く、勤務時間も長かったため、不満を口にしたり、やめていく同期社員も少なくありませんでしたが、私は運よく最初から新規事業に携わることが出来、法人営業ののち、商品企画や販売企画の仕事、さまざまな委員会、海外研修、労働組合役員など、多くの素晴らしい経験をさせてもらいました。
そんな中で分かってきたことは、「本当はもっと他に自分が好きになれる仕事があるのではないか」と思いながら仕事をするよりも、「いま自分が行っている仕事を好きになる」方がはるかに簡単で、良い結果を生むことが多いということです。
もちろん運というものもあるとは思いますが、入社早々に携わらせてもらった新規事業も、内定をもらってから入社までの間に行った自分の行動が評価されたものでしたし、その後のさまざまな経験も、自ら進んで仕事量を増やし、その場その場で上げた実績の評価があればこそだったと思っています。そしてその前提には、いまの仕事を好きになり、全力で行おうという姿勢があったからだと、あらためてそう思います。
仕事を好きになるということは、男女関係に似ているという話を聞いたことがあります。確かに、ある程度付き合って、「少しマンネリ化した彼(彼女)よりも、ひょっとしたら本当はもっと他に好きになれる人がいるのではないか」と思って探すよりも、今の相手の良いとこを見つけ、より好きになる方が簡単だと思います。
先般のアンケートでは、多くの方が、「今の自分の仕事が好きだ」、「現在の仕事をスペシャリストとして極めたい」と答えられていましたので良い状態なのだと思いますが、今よりも、さらにもっと楽しむためにどうするかということを考えると良いと思います。
仕事は奥深く、極めようとすれば簡単ではないと思いますが、努力をしていくうちに、自分の力が上がっていき、よりレベルの高い仕事ができるようになる。そして、そうなった自分に誇りを持てる。評価もされる。という良い循環ができていくと思います。
自分の心持ちと、創意工夫次第で仕事はどんどん面白くなっていくと思います。
仕事を作品にする
「いかにささやかなりとも、最善を尽くした仕事は全て尊い」
という意味のラテン語で、イギリスの高級自動車メーカー、ロールス・ロイス(Rolls-Royce)社の、創業者の一人、ヘンリー・ロイスが残した、同社の社是(しゃぜ=会社経営の根本精神を現した言葉)にあたるような言葉だそうです。
仕事の中には、ややもするとただの単純な「作業」となってしまうこともあると思います。
だからこそ、あえて自分の仕事を「自分の作品」だと思うということを考えてください。
Webのデザインや、構築したシステム、作り上げた名刺などは、自分の作品と言ってもしっくりくると思います。
また、コンペでのプレゼンも作品と言っても違和感がありませんね。
では、掛かってきた電話に出るときの応答はどうでしょうか。
素早く電話を取り、
「お電話ありがとうございます。株式会社アーティスでございます」
そう答え、その後のやり取りを正確にかつ、相手に快さを感じさせられるようにできるとしたら、それは一つの自分の「作品」と言って差し支えないと思います。
たかが電話一つだと思うかもしれませんが、そのたかが一つの電話のやり取りでも、分かる人には、その人の力量が垣間見えてしまうものです。
どうやったら要領よく意志疎通ができ、そして相手に、「気持ちの良い対応をしてくれたな」と思ってもらえるかを考え、試行錯誤することは、楽しいと思います。
たとえ、些細なことに思えるようなことでも、自分の発する言葉や行うことが、よい「作品」だったと思えるようにしていくと、相手に与える印象や影響はより良いものとなり、自分自身も変わってくると思います。
この記事を書いた人
- 1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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