迷惑メール対策には複数のメールアドレス(サブアドレス)を使って対処しよう
迷惑メール対策推進協議会が発行する「迷惑メール白書 2018」によると、日本国内のインターネットサービスプロバイダが取り扱う国内着の電子メールの内、迷惑メールの占める割合は36.7%(2018年3月)です。減少傾向とは言え、まだまだ大きな割合を占めています。ちなみに世界全体での迷惑メールの割合は55.5%(2017年11月)で僅かながら増加傾向です。
迷惑メールのフィルタリングを実施している通信事業者も多いですが完全ではありません。よって、メールを受信した際、迷惑メールを消す作業を繰り返している方がおられると思います。また、こまめに受信拒否を設定してもきりがないのが実情です。
そこで今回は、複数のメールアドレスを活用した迷惑メールの対処法をご紹介します。
迷惑メールとは
迷惑メールに明確な定義はありませんが、一般的に3つの特徴が挙げられます。
次に代表的な迷惑メールの種類を説明します。
事前同意のない広告・宣伝メール
本来、広告・宣伝メールを送信するには受信者の同意が必要です。しかし、同意した覚えのない広告・宣伝メールが勝手に送られてきます。「迷惑メール白書 2018」によると、出会い系サイトへ誘導する広告宣伝メールが最も多く、65.9%を占めます(2017年)。副業紹介や情報商材などに関するメールが16.6%(2017年)で、2016年から10%以上増加しています。
詐欺メール
事前に準備した偽サイトへのリンクをクリックさせるよう誘導し、口座番号やパスワード等の情報を搾取するメールです。詐欺メールは主に下記の2つに分類されます。
(1)フィッシング | 金融機関や大手ショッピングサイト等、認知度の高い企業やブランドを装い、偽サイトに誘導して、口座番号、パスワード、クレジットカード番号などの個人情報を搾取する行為です。本物のサイトに見えるよう巧妙に作成された偽サイトから、明らかに嘘っぽい偽サイトまであります。 |
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(2)ビジネス詐欺 | 取引先などを装って実在のビジネスを演出した偽りのメールで、金銭を搾取する手法です。 |
ウィルスメール
添付ファイルにウィルスが含まれており、添付ファイルを開くことによりPC等にウィルスを感染させます。また、ウィルスに感染するリンク先がメール本文に掲載されており、リンクをクリックさせりことで感染させる場合もあります。
ウィルスに感染するとことにより、感染させたPCやスマホから情報を搾取します。または、ファイルを暗号化するなど、PCやスマホを利用できないようにして金銭を要求することもあります。さらには、PCを遠隔操作して迷惑メールの送信に利用することあります。
チェーンメール
転送しないと不幸になる、転送すると幸せになると記載して、メールの転送を誘導するメールです。または、「血液が足りません」など、人の善意を利用して転送させるメールもあります。
迷惑メール対策
通信事業者の技術的対策
迷惑メールの送信方法が巧妙かつ悪質になってきている状況ですが、技術的な対策も進化しています。送信サーバーで迷惑メールを送信しない対策、受信サーバーで迷惑メールを受信しない対策を組み合わせています。
また、受信サーバー側で迷惑メールを判定し、フィルタリングする処理も行われています。しかしながら、迷惑メール送信側も巧妙な手口を使っており、利用者に迷惑メールが届いてしまうのが現状です。
利用者側の対策
メールを利用する側も迷惑メールへの対策が必要です。主な対策は以下の通りです。
- 電子メールアドレスを安易に公表しない
- 長いメールアドレスを使う
- 会員登録やアンケートなどのメールフォーム入力時に、「今後、当サイトや関連から広告宣伝メールを送信する」に不用意に同意しない
- セキュリティソフト、メールソフトの迷惑メール対策機能を利用する
対策をしても止まらない迷惑メール
しかし残念ながら、上記のことに留意したとしても迷惑メールは届いてしまいます。その理由を迷惑メールの送信側から考えてみます。迷惑メールの送信者は以下の方法でメールアドレスを入手します。
- 名簿業者からメールアドレスのリストを購入する
- ランダムにメールアドレスを作成し、無差別にメールを送信。反応があったアドレスをリスト化する
- 懸賞サイトなど「おとりサイト」を作ってアドレスを登録させる
- ブログなどインターネット上に掲載されているメールアドレスを収集する
- 不正アプリをスマホにインストールさせ、スマホ内の電話帳を丸ごと搾取する
このように様々な手段で実在するメールアドレスを大量に収集します。その上で、メール本文も迷惑メールと分類されないような工夫をしています。つまり、迷惑メールの送信者側にメールアドレスを把握されてしまった場合、通常のメールとの区別が非常に困難なケースがあり、結果、受信者に届いてしまいます。
よって、迷惑メールの送信者にメールアドレスを収集された(=迷惑メールが届き始めた)際、迷惑メールを完全にブロックするには、そのメールアドレスを削除するか変更するのが確実です。
しかし、普段日常的に利用しているメールアドレスを削除または変更するのは、あまり現実的ではありません。
そこで、ここからは「フリーメールのサブアドレス機能」を迷惑メール対策に活用する方法をご紹介します。
フリーメールのサブアドレス機能とは
現在、多くのフリーメールサービスが提供されています。それぞれ特徴がありますが、本記事で着目したいのが「サブアドレス機能」です。通常、フリーメールを申請すると、1つのメールアドレスを入手できますが、そのメールアドレスをメインアドレスとして、メインアドレスに紐づけされた別のメールアドレスを作ることができる機能がサブアドレス機能です。
サブアドレスは、メインアドレスと紐づけされているため、受信はメインアドレスで統一することができます。すなわち、サブアドレス機能で作成されたメールアドレスを削除・変更しても、基本的にメールソフトの設定は変更する必要がないというメリットがあります。
具体的な事例をYahooメール、iCloudメール、Outlookメールで説明します。
Yahooメール「セーフティーアドレス」
Yahooメールでは「セーフティーアドレス」と呼ばれているサービスになります。現在、下記アドレスを所有している(作成した)とします。
test@yahoo.co.jp (メインアドレス)
次にセーフティーアドレスを作成します。作成には下記のルールがあります。
[ベースネーム]-[キーワード]@yahoo.co.jp
ベースネームは1種類だけ設定できます。キーワードは最大10個(Yahoo BB会員、セキュリティパック利用者は最大30個)まで設定できます。例えば下記のようなメールアドレスになります。
- taro-friend@yahoo.co.jp
- taro-shopping@yahoo.co.jp
外部サイトに登録するメールアドレスはセーフティーアドレスを使い、迷惑メールが届き始めたら、対象のセーフティーアドレスを削除か変更して対応できます。
iCloudメール「メールエイリアス」
iCloudメールでは「メールエイリアス」と呼ばれているサービスを利用します。現在、下記アドレスを所有している(作成した)とします。
test@icloud.com (メインアドレス)
次にメールエイリアスを作成します。「@icloud.com」の前の文字に任意の文字列を設定します。メールエイリアスは3個まで作成できます。
例えば下記のようなメールアドレスになります。
- friend@icloud.com
- shopping@icloud.com
外部サイトに登録するメールアドレスはメールエイリアスを使い、迷惑メールが届き始めたら、対象のメールエイリアスを削除か変更して対応できます。
Outlookメール「メールエイリアス」
Outlookメールでは「メールエイリアス」と呼ばれているサービスを利用します。現在、下記アドレスを所有している(作成した)とします。
test@outlook.jp(メインアドレス)
次にメールエイリアスを作成します。「@outlook.jp」の前の文字に任意の文字列を設定します。
作成できる新しいエイリアスは、1年間に10個まで、全体で最大10個です。(1つのエイリアスを削除すると、全体数からは差し引かれますが、年間の制限数からは差し引かれないので、1年間に10回削除すると、その年は変更できなくなります)例えば下記のようなメールアドレスになります。
- friend@outlook.jp
- shopping@outlook.jp
外部サイトに登録するメールアドレスはメールエイリアスを使い、迷惑メールが届き始めたら、対象のメールエイリアスを削除か変更して対応できます。
《注意》 既にメインアドレスに迷惑メールが届いている場合、メインアドレスの再取得から行う必要があります。
まとめ
本記事では、フリーメールアドレスのサブアドレス機能を用いて、複数のメールアドレス活用による迷惑メールへの対処法を説明しました。
事業者側の技術的対策が進化しているとは言え、迷惑メールの送信技術も巧妙化しています。現時点では、迷惑メールの送信者側にメールアドレスを収集されると、通信経路でブロックされず、迷惑メールが利用者に届く可能性があります。
その際、迷惑メールを受信しないようにするには、メールアドレスを削除・変更する方法が確実です。
そこで、フリーメールのサブアドレス機能で生成したメールアドレスを活用するのが現実的で便利な方法です。迷惑メールが多く届いて困っている方は、ぜひ参考にして下さい。
この記事を書いた人
- 創造性を最大限に発揮するとともに、インターネットに代表されるITを活用し、みんなの生活が便利で、豊かで、楽しいものになるようなサービスやコンテンツを考え、創り出し提供しています。
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