Webサイト上での行動を操られている!? ユーザー心理に付け込む「ダークパターン」とは
みなさんは通販サイトや情報配信サイトなどで、「買うつもりのない商品を購入してしまった・・・」「気づかないうちにメルマガを購読していた・・・」「解約の仕方がわからない・・・」といった経験はありませんか?
もしかしたらユーザーを騙し、行動を操る「ダークパターン」の被害にあったのかもしれません。
本記事では、ダークパターンとは何なのか、そしてダークパターンに対する各国の動きについて紹介します。
ダークパターンとは?
ダークパターンは主にWebサイトなどでユーザーを騙すために慎重に作られたユーザインタフェースで、2010年8月にイギリスのWebデザイナーであるハリー・ブリヌルによって命名されました。
参照元:Wikipedia「ユーザーを騙す」という物騒な表現のため特殊な事例と思われるかもしれませんが、通販サイトなどで良く見られる手法です。
ダークパターンの事例
では、ダークパターンの具体的な事例を見ていきましょう。
代表的な4つの事例を紹介します。
1.焦らせて判断力を低下させる
カウントダウンのタイマー表示や、在庫数の大げさな表示、現在の閲覧者数の表示など、ユーザーの意思決定を催促して判断力を低下させる手法です。
カウントダウンタイマーを表示し、購入を焦らせる。
残り部屋数とページの閲覧数を大げさに表示する。
また、閲覧数が正しい人数であるとは限らない。
2.特定の選択肢に誘導する
ボタンの明るさに強弱を付けたり、ユーザーを躊躇させる文言を掲載するなど、デザインや文章表現で特定の選択肢に誘導する手法です。
「登録しない」のボタンがまるで選択できないかのようなグレートーンで表示される。
キャンペーンを利用しないリンクにユーザーが心理的に選択し難くなる表現が使われる。
3.選択肢を気づかせない
チェックボックスを予めチェックが付いた状態で分かりづらい位置に表示したり、ユーザーにとって不利益な情報を最後まで隠すなど、ユーザーに気づかせないようにする手法です。
「定期購読も申し込む」に勝手にチェックがついている
購入確認画面で初めて配送料・手数料が表示される
4.入りやすいが抜け出しずらいプロセス
登録は簡単にし、解約は複雑なプロセスにすることで、ユーザーに解約を断念させる手法です。
メールアドレスのみの簡単な登録画面
複雑な手順をふむ解約説明画面
ダークパターンに対する欧米の対応
代表的なダークパターンの事例を紹介しましたが、「見たことある!」という方が多いのではないでしょうか?
日本では小規模なWebサイトだけでなく有名な通販サイトでも上記の事例のようなダークパターンをよく利用しているため当たり前となっていますが、海外ではそうではないようです。
2021年3月27日に日本経済新聞でダークパターンに関する記事が掲載されました。
欧州ではメールマガジンの受信同意を初期設定するのは「誘導」に分類され、「一般データ保護規則」(GDPR)に違反する恐れがあるとの見解が示され、アメリカのカリフォルニア州やワシントン州でもダークパターンを禁止・規制する法案が提出されたと報じています。
また同じくアメリカでは「退会をあえて難しくしていた」とし、米連邦取引委員会(FTC)が通信教育会社を提訴。同社は解決金として1000万ドル(約10億円)の支払いに応じました。
欧米ではダークパターンへの規制や摘発の動きが活発になっていますが、日本はどうでしょうか?
日本経済新聞が2020年12月に日本の消費者向け主要100サイトを調査したところ、実に62サイトでダークパターンが確認されました。2019年に行われたアメリカでの調査結果が11%の使用率だったことを考えると、日本企業の問題意識の低さが目立つ結果となりました。
このような状況に対し消費者庁では、特定商取引法を改正し定期購入や高額な商品の購入について虚偽やわかりにくい表示で消費者を誤認させた場合、懲役刑を含む刑事罰の対象にする方針と発表されました。
参照元:日本経済新聞ユーザー視点に立ったサイト設計を
ダークパターンの事例や欧米、日本の規制などについて紹介しましたが、ほとんどのダークパターンは悪質な動機ではなく「よりユーザーを増やしたい」「より売上を上げたい」という真っ当な意思によるものだと思います。
しかしながら一方では悪質なケースもあることから、今後は日本でもダークパターンへの規制が厳しくなることが予想されます。
ユーザーが心地よく感じる最適なサイト設計はどうあるべきか、改めてユーザーの視点にたって考えることが大切ではないでしょうか。
この記事を書いた人
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大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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