FlashからHTML5へ 「その背景と主要ブラウザの対応は?」
今年の7月、Flash Playerを提供するAdobeは、2020年末までにAdobe Flash Playerの配布およびアップデートを終了することを発表しました。 参考:Flash とインタラクティブコンテンツの未来(Adobe Japan Corporate Communications Blog)
これにより、Google ChromeやFirefoxなどの主要Webブラウザも2020年末までにFlash機能を削除することを発表しています。
現在すでに主要Webブラウザでは、Flashの標準無効化がされており、Flash動画を再生するには「手動で有効化」する必要があります。
今回の記事では、Flash廃止の背景と各ブラウザの対応、今後の動画配信方法について解説していきます。
Flashが廃止されるようになった背景
1996年に「Macromedia Flash」として登場したこの技術は、画像や音声を使ったコンテンツを作成するための規格で、動画再生を含むインタラクティブ性の高い技術としてユーザーにリッチな体験をもたらしてきました。
Flash全盛期には、フルFlashで構成されたWebサイトもWeb業界のトレンドでした。
しかし、2010年ごろからFlashは衰退していきます。大きな影響をもたらしたのが、当時AppleのCEOだったスティーブジョブズがiPhone OSでAdobeのFlashテクノロジをサポートしない理由を説明するメッセージを発表したことです。
その結果、Adobeは2011年にモバイル向けFlash開発の終了を既に宣言しています。
では、なぜFlashが避けられるようになったのでしょうか?Flashにはいくつかの問題点があります。
Flashの問題点
- 頻発するセキュリティの脆弱性
- 読み込みに時間がかかるため消費電力が大きく、ブラウザがクラッシュする原因となる
- プラグインがないと再生できない
このなかで最も大きな問題点は「頻発するセキュリティの脆弱性」です。
CVEDetails.comで提供されているデータによれば、2005年から合計1033個の脆弱性が発見されており、今年の5月にも深刻な脆弱性が発見されています。
Flash Playerを提供するAdobe側も脆弱性が発見される度に、脆弱性を修正するセキュリティアップデートをリリースしていますが、脆弱性を狙って攻撃するハッカーとの「いたちごっこ状態」となっています。
このような状況も含めて、Adobeは「Flash終了」の結論に至ったと考えられます。
各主要ブラウザのFlash対応状況
この「Flash終了」に向けた動きは、各主要ブラウザにおいても以前より対応が進められています。
MozillaのFirefox、GoogleのChromeブラウザ、MicrosoftのEdgeはそれぞれ、2015年あるいは2016年からFlashのブロックを開始しており、Adobeが発表したFlash Player提供終了を受け、Flash機能の廃止に向けたロードマップを発表しています。
各主要ブラウザの現時点(2017年10月12日時点)での最新バージョンにおけるFlashの取り扱い状況、および2020年の廃止に向けたロードマップは下記のようになっています。
ブラウザ別のFlash動作状況・廃止に向けたロードマップ
ブラウザ | バージョン | 標準設定での動作 | Flash廃止に向けたロードマップ(参考) |
---|---|---|---|
InternetExplorer | 11 | 再生可能 | http://news.mynavi.jp/news/2017/07/26/282/ |
Edge | 40 | ブロック(手動で有効化) | http://news.mynavi.jp/news/2017/07/26/282/ |
Chrome | 61 | ブロック(手動で有効化) | http://news.mynavi.jp/news/2017/07/26/296/ |
FireFox | 56 | ブロック(手動で有効化) | http://news.mynavi.jp/news/2017/07/26/268/ |
Safari | 10 | 再生不可(プラグイン要インストール) | http://news.mynavi.jp/news/2017/07/26/250/ |
Flashブロック時のブラウザ表示例
Googleは、Adobeの発表に伴い、Chromium BlogでChromeユーザーのFlash Player利用率の推移を公開しました。
公開された記事によりますと、3年前まではデスクトップ版Chromeユーザーの80%以上がFlashを利用し各サイトにアクセスしていたのに対し、現在ではChromeユーザーのFlash利用率は17%程度となっているそうです。
FlashからHTML5へ
数年前から「脱Flash」に向けた取り組みを行っている主要ブラウザ各社は、Flashに代えてHTML5 で動画を再生する方針へ転換し、現在ではすべての最新ブラウザがHTML5の動画再生(HTML5 videoタグ)をサポートしています。
※AdobeもFlashコンテンツをHTML5やWebGLなどの新しいオープンフォーマットに移植するよう推奨しています。
また、動画をコンテンツとして扱うYouTubeやFacebookもFlashからHTML5 videoタグへの移行を完了させており、ブラウザだけでなくWeb業界全体がFlashからHTML5へと動いています。
HTML5 videoタグでは、Web上の文章や画像などと同じように動画や音楽を含むマルチメディアコンテンツを描画できます。そのため、動画再生時にはFlash Playerのようなプラグインが必要なくなり、通信量の増大は軽減され、脆弱性などのセキュリティ上の懸念といった「Flashが抱えていた問題」が解消されます。
HTML5動画サンプル
さいごに
リッチコンテンツの立役者であったFlashは、時代の流れによって2020年にその役目を終えようとしています。
そして、今後はHTML5やWebGLなどの新しいオープンフォーマットがその役割を担っていくことになります。
既にほとんどの主要ブラウザでは、Flashはデフォルト設定でブロックされていますのでFlashで提供されている動画コンテンツがある場合には、早めにHTML5 videoタグに移行することをおすすめします。
この記事を書いた人
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印刷会社の営業を経て、2008年にアーティスへ入社。webディレクターとして多くの大学・病院・企業のwebサイト構築・コンサルティングに携わる。2018年より事業開発部として新規サービスの企画立案・マーケティング・UI設計・開発に従事している。
資格:Google広告認定資格・Yahoo!プロモーション広告プロフェッショナル
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