「お客様は神様」という台詞と、Webマーケティング
若い方はご存じないかもしれませんが、「お客様は神様でございます」という名台詞で有名な三波春夫(みなみはるお)さんという歌謡歌手がいらっしゃいました。
それに対し「いやいや、お客さんは神様ではなく王様だ」と言った人もいました。
また、企業や商店においては「顧客第一主義」など、お客さんを第一に考えるといった理念を掲げているところが少なくありません。
多くの人が「お客様」という存在の大切さは理解してはいるのでしょう。ただ、それをどれだけ真剣に受け止め、かつ、そのつもりで対応しているのかということが、その表現や行動に現れるのだと思います。
当たり前のことですが、商売を成り立たせるためにはお客さんの存在が必須です。
どんな秀逸なビジネスモデルであろうと、いかに素晴らしい商品やサービスであっても、お客さんがそれを買ってくれない限りは、ビジネスとして成り立ちません。
ところが、このなんとも当たり前のことが、意識から外れてしまっているケースが少なくないように思います。
特にWebマーケティングの世界では、顧客と直接対面するケースがきわめて少なく、メールを主としたやり取りや、アクセスログから得られた数値データやグラフでの検証、評価と、特に顧客不在に陥りがちな業態でもあります。
しかし、お客さんから頂く、商品やサービス提供の対価としてのお金を売上とし、組織の運営をまかなっていく以上、お客さんから見限られた企業や組織は生き残っていく事はできません。
「会社の真の支配者はお客様である」というのは、中小企業の経営者にたいへんな人気のあった経営コンサルタントの一倉定氏の言葉ですが、まさしくその通りです。
お客さんとのリアルなやり取りが、なかなか出来ないWebマーケティングであるからこそ、お客さんの存在をできる限りリアルに思い浮かべ、「どんなふうにしたらお客さんは喜んでくれるだろうか」ということを常に考えながら仕事をすることが大切だと思います。
ちなみに「お客様は王様だ」というセリフには、「神様」は慈悲深いが、「王様」には、時にはクビをはねられることもあるのだという意味があるそうです。
事実、顧客から見放された会社や商店は生き残ることが出来ず、その過程で社員のリストラや最後は倒産ということにもなりかねないわけですから示唆に富んだ台詞だと思います。
また、三波春夫さんの「お客様は神様でございます」という台詞は、「金銭的な価値を受け取る相手に対するへりくだった姿勢なのか」と揶揄されたようですが、三波さんは、そうではなく「舞台に立つときには、客席からは神様が見ているのだ」という真摯な態度で臨むことが芸の本質なのだという意味のことを後に語っています。
お客様と真摯な態度で向き合うことの大切さは、芸事も仕事もまったく同じなのだと思います。
この記事を書いた人
- 1998年アーティスを設立し、インターネット通信販売をはじめとした数々のウェブサイト構築を手がける。ユーザビリティという言葉自体が耳慣れなかった頃よりその可能性に着目。理論や研究だけでなく、実際の構築と運営という現場で積み重ねてきた実績がクライアントの信頼を集めている。
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