医療機関ウェブサイトが広告規制の対象となった場合の影響について
2016年4月、美容外科などの医療機関のウェブサイトを巡って健康被害や契約トラブルが相次いでいることを受け、厚生労働省が医療機関ウェブサイトを広告規制の対象とする検討を始めたというニュースが報道されました。
「医療機関ウェブサイトを広告規制の対象とする」とはどういった事なのか、どのような影響が出るのか、現在の医療機関ウェブサイトにおける広告規制の状況を踏まえ、解説します。
医療機関ウェブサイトを取り巻く2つのガイドライン
現在、医療機関に関する広告規制については、患者等の利用者保護の観点から平成19年4月に施行された「医療広告ガイドライン」にて規制されています。
医療広告ガイドラインの主な内容
広告規制対象範囲
- チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの
- ポスター、看板、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
- 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送、映写又は電光によるもの
- 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上のバナー広告等)
- 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
禁止される広告
- 比較広告
- 誇大広告
- 広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告
- 公序良俗に反する内容の広告
ただし、医療機関ウェブサイトにおいては、「一般に広く認知される『広告』ではなく『情報提供』にあたる」とし、「医療広告ガイドライン」の規制対象外とされてきました。
しかし、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関のホームページに掲載されている情報を契機として発生するトラブルが相次いだため、平成24年9月、厚生労働省によって国民・患者を誘引する虚偽又は誇大な内容等のホームページに掲載すべきでない事項、治療内容、費用、治療のリスク等のホームページに掲載すべき事項をまとめた「医療機関ホームページガイドライン」が定められました。
医療機関ホームページガイドラインの主な内容
ホームページに掲載すべきではない事項の具体例
事項 | 例 |
---|---|
内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの |
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他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの |
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内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合が良い情報等の過度な強調
|
|
早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調 |
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科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの |
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公序良俗に反するもの | わいせつ・残虐な図画・映像、差別を助長する表現等 |
医療法以外の法令で禁止されるもの | ホームページへの掲載に当たっては、薬事法、健康増進法、不当景品類及び不当表示防止法、正競争防止法を含め、関連の他法令等も併せて遵守すること。 |
ホームページに掲載すべき事項
- 通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項
- 治療等のリスク、副作用等に関する事項
医療機関ウェブサイトが広告規制の対象になると?
上記で解説しましたように、医療機関ウェブサイトは「医療機関ホームページガイドライン」のみ適応され、「医療広告ガイドライン」については対象外とされていますが、仮に現在の「医療広告ガイドライン」の対象となった場合、以下の情報掲載が禁止されます。
- 医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された事をウェブサイトで紹介すること。
- アンチエイジングという言葉を使うこと。
- 「最適な医療を提供します」「安全な手術です。」などの言葉を使うこと。
- 手術前後の写真等による治療効果を掲載すること。
- 患者様のインタビューや体験談を紹介すること。
- 費用を強調してデザインすること。
- 他の医療機関と比較して優れていることをアピールすること。
医療機関ウェブサイトが「医療広告ガイドライン」の全項目の対象となるかは、未定ですが医療機関の方は、2016年秋に発表される予定の規制策について注目しましょう。
まとめ
- 医療機関の広告を適正化するために設けられた「医療広告ガイドライン」
- 医療機関ウェブサイトの適切なあり方をまとめた「医療機関ホームページガイドライン」
- 医療機関ウェブサイトは、広告としてみなされない為、「医療広告ガイドライン」の規制対象外となっている。
- 医療機関のウェブサイトを巡って健康被害や契約トラブルが相次いでおり、医療機関ウェブサイトを広告規制の対象とするか検討されている。
- 2016年秋に規制策がまとめられる予定
この機会に「医療機関ホームページガイドライン」はもちろん、「医療広告ガイドライン」の内容も確認したうえで、客観性・正確性のある情報提供がなされているか、見直してはいかがでしょうか?
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この記事を書いた人
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大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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