医療機関ウェブサイト広告規制 〜ウェブサイトの事例解説書(第2版)〜
以前の記事「医療機関ウェブサイト広告規制 〜厚労省のウェブサイト事例解説書を説明します〜」で、2021年7月26日に厚生労働省が発表した「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」について解説しましたが、2023年2月1日に第2版が発表されましたので変更点や追加点について紹介したいと思います。
INDEX
医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版)
第2版では下記項目について修正、追加されています。
修正 |
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新規追加 |
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では具体的な変更点・追加点について見ていきましょう。
【修正】最上級の比較(比較優良広告)
まず「最上級の比較(比較優良広告)」ですが、ページ内容がスカスカのうえ、掲載している内容に変更はありません。
初版ではページ下部に「他の医療機関との比較」の内容が掲載されていましたが、独立したページとなったためページ下半分が削除されました。
「最上級の比較(比較優良広告)」はよくお問い合わせをいただく項目ですので、空いたスペースがあるのであれば「最高」や「日本一」などNGとわかりきった事例だけでなく、「日本で有数の・・・」や「県内で数少ない・・・」など迷うような言い回しの事例を追加してもらいたかったですね。
ちなみに「日本で有数の・・・」や「県内で数少ない・・・」はどちらもNGとなる言い回しです。
【修正】他の医療機関との比較
独立したページとなった「他の医療機関との比較」では、「事例①特定の医療機関と比較した表現」が追加となりました。
ネットパトロール事業において近隣の医療機関との費用比較している広告が多く見受けられたことが背景にあるようです。
【追加】体験談(省令禁止事項)
初版では「患者さんの体験談」や「口コミサイトの体験談」に関する内容でしたが、第2版では「医療機関スタッフの体験談」や「医療スタッフが患者さんの体験談を記載」、「口コミサイトの編集依頼」という抜け道のような広告への事例が追加となりました。
こちらもネットパトロール事業での経験を踏まえて追加されています。
続きまして、P.18の「体験談」でございまして、こちらは口コミなどのサイトで高評価を依頼するようなケースが出てきていることが判明しておりますので、こういったことに関する問題点について、こちらのP.18に新規作成してお示ししているところでございます。2023年1月12日開催 「第20回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」議事録より抜粋
【追加】費用を強調した広告
この事例は多くの医療機関、特に美容医療ではよく利用する表示方法ではないでしょうか?
一般企業ではあれば当たり前の記載も、医療機関ではNGという典型例だと言えます。
これまでは医療広告ガイドラインに関するQ&Aにて、「品位を損ねる内容の広告は、厳に慎むべきもの」という曖昧な表現でしたが、どのような表現がNGか明確に示されたことで修正を余儀なくされるサイトも多いのではないでしょうか。
A2-5 医療広告ガイドラインにおいて、費用を強調した品位を損ねる内容の広告は、厳に慎むべきものとされておりますが、費用に関する事項は、患者にとって有益な情報の1つであり、費用について、分かりやすく太字で示したり、下線を引くことは、差し支えありません。
費用を前面に押し出した広告は、医療広告ガイドラインにおいて、品位を損ねるものとして、医療に関する広告として適切ではなく、厳に慎むべきとされています。「医療広告ガイドラインに関するQ&A」より抜粋
【追加】医薬品の販売名(医薬品医療機器等法)
「医薬品医療機器等法により、医薬品又は医療機器の販売名は記載してはならず、医薬品の一般名称を記載する」という、とても明確な基準にも関わらず事例に追加されたということは、遵守していない医療機関がまだまだ多い表れだと思います。
また上記項目は要件を満たせば記載が許される「限定解除」が適応されていますので、限定解除に関する誤った認識で記載している医療機関も多くありそうです。
広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④のいずれも満たした場合とする。
ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること「医療広告ガイドライン」より抜粋
【追加】バナー広告・リスティング広告に関する違反
費用をかけて掲載するバナー広告やリスティング広告は、「ユーザーの目を引きたい」という思いがウェブサイトより強く働くため、ガイドラインに抵触する場合が多いと考えられます。また限定解除要件にも該当しないということも改めて示したいという意図が読み取れます。
【追加】特定の人のみが閲覧可能な広告における違反
これもネットパトロール事業において実際にあった事例を元に作成されたようですが、医療広告ガイドラインが分かりにくいとはいえ、さすがにこれは確信犯だと思います。
様々な抜け道や都合のいい解釈で掲載しようとしている医療機関が後を絶たないのですね。
さいごに
いかがだったでしょうか?
医療広告ガイドラインが2018年6月に施行されてから5年が経過し、ほとんどの医療機関がある程度の認識と理解を示している中、それをかいくぐろうとする一部の医療機関に向けての第2版という内容でした。
すでに対応済の医療機関が多いかと思いますが、改めてウェブサイトを見直してみましょう。
この記事を書いた人
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大学卒業後、バンド活動を経て2003年にアーティスへ入社。
営業兼コンサルタントとして、これまで携わってきたWebサイトは500サイト以上、担当したクライアント数は300社以上にのぼる。
現在は、豊富な経験を活かした提案を行いながら、ソリューション事業部 部長として事業戦略の勘案や後進育成にも取り組んでいる。
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